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実践インバウンド対策・おもてなし表現講座

2011.01.28
歐陽宇亮 (Au Yeung Yu Leung)

誰に対して「歓迎」と言っているのですか?

中国人観光客に人気のある観光地やホテル、旅館に行くと、「歓迎」(繁体字中国語:「歡迎」;簡体字中国語:「欢迎」)という言葉をよく見かけます。
しかし、誠心誠意を込めてお客様を歓迎するつもりが、実は見当違いの方向に「ようこそ」と言っている場合が多いのは、ご存じでしょうか?

「○○ホテルへようこそ」の例を挙げましょう。
「歡迎○○飯店」や「欢迎○○酒店」などの表記はよく目にしますが、明らかに間違いです。
「歓迎」という動詞はそのうしろの名詞に掛かるため、「歡迎○○飯店」や「欢迎○○酒店」などの表現は、「○○ホテルを歓迎します」という意味になってしまうのです。
お客様ではなく、ホテルに対して「ようこそ」といっているなんて!非常に失礼な表現ですね。

このような恥ずかしい誤りを防ぐには、「歓迎」と「○○ホテル」の間に「来る」の敬語に相当する単語を入れると良いでしょう。
中国語で「来る」は「來」(簡体字:「来」)あるいは「來到」(簡体字:「来到」)ですが、敬語は「光臨」(簡体字:光临)や「蒞臨」(簡体字:莅临)になります。
「歡迎光臨○○飯店」や「欢迎莅临○○酒店」が正しい表現です。直訳すると「○○ホテルにいらっしゃった貴方様を歓迎いたします」になります。
また、ホテルを主語にして、「○○飯店歡迎您」や「○○酒店欢迎您」(○○ホテルが貴方様を歓迎いたします)といった表現も使えます。
これで、やっとホテルではなく、お客様に対して「ようこそ」を言うことができるのです。

中国語翻訳は、ただ日本語を中国語の漢字に置き変えればいいというわけではありません。
「○○ホテルへようこそ」という表現では省略されている「誰に対する歓迎なのか」の部分もきちっと翻訳しなければ、おもてなしの心は伝わらないのです。
このような中国語のニュアンスは日本人にはつかみにくいので、翻訳のプロに任せる方が安全と言えるでしょう。

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